黒い雨

作者紹介

井伏鱒二・・・１８９８年広島生まれ。本名・満寿二。早大仏文科を退学した後、旧友と同人誌を創刊、『幽閉』を発表。それを改稿・改題した『山椒魚』が再掲され、処女作に。個性的な芸術表現を重んじる「新興芸術派」に連なり、プロレタリア文学に対抗。代表作に『さざなみ軍記』『本日休診』など。

総評

　広島の被爆体験を日常生活の中から掘り起こした作品。作品のモデルとなった重松静馬（しげまつしずま）さんの手記をはじめとする三千点以上の資料を元に再構成した小説です。実際にその時広島にいた人の手記を元にしているとあってとても生々しいです。私のおじいちゃんも広島生まれで、原爆で親類をたくさん失ってますので、小さい頃その惨状をよく聞かされました。そして、その時、子供ながらにこの事実を忘れちゃいけないと思いました。その惨状を生々と伝えているこの小説は、当時の人たちにとって、とても尊い存在です。これは是非皆さんに読んでいただきたいですね。